ネット時代のデジタルプリアンプを作ろう

aeolian design tech blog (https://www.aeoliand.com) 室内音響 音場補正 Dirac Live の話題です

4. トーンコントロールは音を悪化させる

== デジタルプリアンプ事始め (4) ==

トーンコントロールは音の波形を歪める

さて,トーンコントロールですが,通常,低音と高音の二つのつまみがあって,それぞれを回すことによって,その量に応じ,低音と高音の周波数特性が以下の図のように変化します.

f:id:aeoliand:20210518114759p:plain

トーンコントロール


 この機能の音への影響ですが,まずボリュームと同じように電気部品に信号を通せば通すほど音が悪くなるという考え方が基本的にあります.なので,高級アンプはこの劣化がなるべく少なくなるよう設計されています.

また,ボリュームと違って,トーンコントロールは信号の位相を変化させてしまうという副作用もあります.つまりトーンコントロールは信号の周波数に応じて通過時間にズレを発生させるのです.

 

それのいったい何が問題なのでしょうか.上の図を見て下さい.この二つの信号はまったく同じ周波数特性なのですが,位相が違うのです.位相が違うと図のように音の波形が変わってしまいます.では,この二つの音の違いが分かるのか,という話になるのですが,わからないという人と,わかるという人がいます.多くの人は違いが分からないようですが,たとえば音の信号が弦楽器のような持続音ではなく,瞬発的なパーカッション系だと違いが分かったりするようです.

 

また,これは音の悪化とは直接関係ありませんが,トーンコントロールは図のように低音/高音「全体」を変化させます.ある特定の周波数を変えることはできません.例えて言えば,背中のある場所がかゆいのに,そこを掻けないようなものですね.ここも気になるところです.

 

aeoliand.hatenablog.com