ネット時代のデジタルプリアンプを作ろう

aeolian design tech blog (https://www.aeoliand.com) 室内音響 音場補正 Dirac Live の話題です

3. ボリュームは音を悪化させる

== デジタルプリアンプ事始め (3) ==

スイッチは音を少し悪化させる

さて,その3機能はなぜ音を悪化させるのでしょうか.

まず切り替え,つまりスイッチのことですが,なぜスイッチが音を悪化させるか,それは接続具合に関係してます.通常,電線の接続はハンダといって,合金化させ,しっかりと三次元的にくっつけますが,スイッチは点で接触させているだけなのです.つまり接触面積が小さく,バネ的な力で接触させているので,使っているうちにそのバネの力が弱まってくると接触具合も悪くなります.その欠点ををいかにカバーするかでスイッチの値段が大きく変わってきます.

 

ボリュームは少し音を悪化させる

つぎに音量調整のボリュームですが,3機能の中で一番影響が大きいと言われていて,同じ機能でありながら部品の値段は数十円から十万円越えまで大きな開きがあります.ところでボリュームは回して音を大きくする機能だと思っている人がいますが,実は逆で,音を小さくするものです.つまみを右一杯に回した状態が,なにもしていない素の状態,それを左に回すと徐々に電気信号に抵抗をかけ音を小さくさせていき,左一杯の状態で電気信号を止めてしまいます.水道の蛇口と同じです.この電気信号に抵抗をかけるときに音が悪化するのです.

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ボリューム

図を見て下さい.右一杯に回した状態では電気信号は抵抗を通らずにそのまま流れていきますが(水色の矢印),左に回せば回すほど抵抗を長く通過することになります(赤色の矢印).さて,この抵抗,実は何もしなくても図のようにノイズを発生させ,音を悪化させています.そのノイズは抵抗の値(R)が大きいほど大きくなります.つまりボリュームを絞れば絞るほどノイズが増えていくのです.このノイズはなくすことはできませんが,値段の高いボリュームほど,このノイズが少なくなります.

抵抗を使う限りこのノイズからは逃れられないので,某A社のAAVA方式などは抵抗を使わない非常に高価な回路でボリューム制御をしています.

 

ボリュームは小音量では使いにくい

音の悪化と関係ないのですが,ボリュームの回し具合と音量との関係は上図のようになっています.左一杯に回したところから徐々に右に回していくと,音量はいっきに大きくなり,左に回せば回すほど,音量の上がり方がなだらかになります.これがどういうことかというと,音量が小さいところでは細かな調節が難しく,音量の大きなところは細かな調節がきくということで,使い勝手に関係しています.

いずれも小音量(時計の針で9時のあたり)で聴く人には気になるところです.

 

最後に音質の調整(トーンコントロール)がどうして音を悪化させるのかですが,これは次回に.

 

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