6. デジタルプリアンプのボリュームは 64bit 処理
== デジタルプリアンプ 事始め (6) ==
JRiver Media Center と Dirac Live for Studio
デジタルプリアンプ用に2つのソフトを PCで使用します.一つは JRiver Media Center,もう一つは Dirac Live for Studio です(※双方とも無料お試し版があります).音の悪化をもたらす 3機能に対する役割分担は,JRiver Media Center が入力切り替えとボリューム調整,Dirac Live for Studio はトーンコントロールです.ただ,JRiver Media Center は CD やダウンロード音源は再生するのですが,お手持ちのCDプレーヤーやレコードプレーヤーなどを接続できないので,ご注意ください.
まず,JRiver Media Centerですが,各問題に対してはどのように有効なのでしょうか.
- 音楽信号を電気回路に通せば通すほど音は原理的に悪化する.
前回お話した通り,音楽信号を電気回路に通さないので,この問題はなくなります.
ボリュームは 64 bit 処理
- ボリュームは小さい音で聴けば聞くほど音が悪化する.
JRiver Media Centerは音楽信号を 64bitデータとして処理するので,この問題もなくなります.これについてはもう少し説明します.
音楽信号をデータとして処理する場合,bit数が問題になります.これはどれだけ正しく元の信号を再現できるかということと関係しており,図のように bit数は方眼紙のマス目の細かさのようなものです.ちなみに CD の bit数は 16bit,高品質オーディオ機器は 24bit,JRiver Media Center は 64bitです.それぞれのダイナミックレンジとマス目の数は以下のようになります.
16 bit (CD), 96 dB, 6.5万ステップ.
24 bit (DAC), 144 dB, 1677.7万ステップ, 16 bit の 1ステップより 256倍細かい.
64 bit (JRiver), 384 dB,(とても細かい), 24 bit の 1ステップよりより 1億倍細かい.
どうでしょう.JRiver Media Centerの処理にどれほどの余裕があるのか,お分かりいただけるのではないでしょうか.これがボリュームを下げても音がまったく悪化しない理由です.
(※技術に詳しい方向け:上記の件,正しくは 64 bit 浮動小数点データのことです.仮数部が 52 bit もある上に,浮動小数点なので,クリップは発生せず,またボリュームをいくら下げても元のデータは劣化しません.また同様の理由で,後に Dirac Live for Studio で演算処理を行ってもやはり劣化しません)
- ボリュームは小さい音で聴けば聞くほど音量の細かな調節が難しい.
ボリューム調整も計算で行うので,どうにでもできるのですが,JRiverでは以下のように100段階調節になっていて,細かな調節ができます.
0 から 10: -4.5 dB 刻み
10 から 20: -1.5 dB刻み
20 から 100: -0.5 dB刻み
0: -100 dB (無音)
10: -55 dB
20: -40 dB
30: -35 dB
40: -30 dB
50: -25 dB
60: -20 dB
70: -15 dB
80: -10 dB
90: -5 dB
100: 0 dB(最大音量)
ご参考までに,ブログ担当のアンプのボリュームの刻みはこんな感じです.
Dirac Live for Studioについては次回に.