ハイエンドの CD プレーヤーも作ろう(リッピング)
ハイエンドの CD プレーヤーも作ろう
さてここまでの作業で,とりあえず PC に接続された CD ドライブで CD を聴くことができるようになりました.
しかし,高性能なデジタルプリアンプを作ったのはいいけど,こんな安物の CDドライブで,本当にいい音で CD が再生できるのかと心配された方もいるでしょう.
ごもっともな心配です.結論から言えば,大丈夫です.これから説明するように CD の内容をあらかじめデータ化しておくことで,ハイエンドの CDプレーヤーに匹敵する性能を得ることができるようになります.
高性能な CD プレーヤーとは
では,高性能な CD プレーヤーはいったい何がすぐれているのでしょうか.
CDプレーヤーの中身はこのようになっていて,大まかに言えば,CD に記録されている 0 /1 データを読み出すトランスポートと,読み出した 0 / 1 データをアナログ信号に変換する DAC から構成されています.
トランスポートは,CD に記録されている 0 /1 データをリアルタイムに,いかに正確に読み出せるかで,値段に差が出てきます.
同様に,DAC は 0 /1 データをいかに正確にアナログ信号に変換できるかで,値段に差が出てきます.
デジタルプリアンプでの CD 再生の戦略
さて,我々のやり方では,まず DAC は PC に接続された USB-DAC を使用しています.USB-DAC の性能はピンキリで,値段で言えば,数千円から 100 万円越えまでの幅がありますが,皆さんの耳が満足するものを自由に選択して下さい.初めは数万円のもので十分だと思います.
つぎに,トランスポートですが,この部分を JRMC で行う方法をこれからご説明します.
まず,最初に朗報をお伝えします.2021年 7月にリリースされた JRiver Media Center 28 (28.0.9 以降)で,CD の内容を『完璧に』読み込んでいるかどうかをチェックする機能が追加されました.音の良さを追求される方は,是非バージョン 28 にアップグレードしてください.
この機能のおかげで,ハイエンドのトランスポートを JRMC で安価に実現することが可能になりました.
さて,安物の CDドライブをどのように使いこなせば,正確な 0 / 1 データを読み出すことができるのでしょうか.答えは,正確な値が読み出せるまで何度も,ときにはゆっくりと読み返す,という方法です.そのため,CDを再生している最中にそうするわけにもいかないので,事前に CDの中身をデータ化しておくのです.いわゆるリッピングです.残念ながら CD をリアルタイムに再生するということは諦めなければなりません.
もし,CDに大きな傷が入っていて,どうやっても正確な値が読み出せないこともありますが,その場合は諦めましょう.ハイエンドのトランスポートでも無理だと思います.
JRMC の設定をしよう
CD をリッピングする前に,まず,JRMC の設定をしておきましょう.これは最初に一回だけ設定すれば,あとは必要がない限り,そのままで大丈夫です.
まず,メインのウインドウから,ツール > オプション.
つぎに,表示されたオプション ウインドウで,CD, DVD & BD > CD リッピング >ドライブ >コピーモード から,「エラー訂正」を選択.
>読み出し速度は,とりあえず「最大」にしておいてください.もし CD に傷が入っているなどの理由で,リッピングに失敗する場合は,ここの速度を落として,再度試してください.
>ファイル管理で,「エラー訂正でリッピングモードのときにログファイルを作成」にチェックを入れておくと,CD データが正確に読み込めたかどうかレポートされます.
同じくオプション ウインドウの,エンコーディング >オーディオ: CD リッピング > エンコーダーから,「FLAC Encoder」を選択しておくのが無難です.もちろん,皆さんが使用している USB-DACにあわせて,お好みのフォーマットにしてください.
読み込んだ CDデータの保存場所も指定することができます.
ここでは,ファイルの場所 > オーディオ(CD からリッピングしたものとポッドキャスト) > フォルダーの参照から,ミュージックを選んでいますが,皆さんの環境に会った場所を指定してください.
取り込んだ CDデータを保存するフォルダー名やファイル名のフォーマットを自分の好みに設定することもできます.
他にも様々な機能がありますが,まずは以上の設定でいいと思います.
CD のデータを取り込もう(リッピング)
それでは CD のデータを読み込んでみましょう.CD をドライブに挿入してください.
自動的に検出されるので,「CD をリッピング」にチェックを入れ,「終了」をクリック.
するとリッピングが開始され,進行状況を確認することができます.
リッピングが終了すると,上記のような画面になり,CD ジャケットの画像も自動的にデーターベスから読み込まれます.
以上で,読み込み完了です.
ハイエンド CDプレーヤーに匹敵する音楽をお楽しみください.
リッピングのもう一つのメリット
リッピングのメリットは高音質化や静音化だけではありません.いったんデータ化し,ハードディスクに保存しておくと,CD のように収納スペースを必要としません.
最近の SSD は名刺サイズで 1TByte 以上もあるので,FLAC ではなく WAV で取り込んだとしても,約1500枚の CD をわずか名刺サイズの SSD に収めることができます.