11. Dirac Live による時間応答最適化の検証
== Dirac Live for Studio デジタル室内音響補正の検証 (11) ==
Dirac Live によるステップ応答最適化の検証
次にタイミング,すなわちステップ応答を見てみましょう.Diracは,「マルチウェイスピーカーのユニット間のずれは,異なる周波数帯に異なる遅延を自動的に適用することで補正できる」と主張しています.
そこで,まず補正前の Purifi SPK4 のステップ応答を見て,この主張を検証してみましょう.
上図のように,横軸の時間 0ms の(2重の)スパイクがAMTのトゥイーターで,マイナス方向に進む部分が PurifiのPTT6.5 ウーファーのスタート部分に完全に溶け込んでいます.パッシブクロスオーバーの典型的なデザインです.しかし,本当の意味でのタイムアラインメントではありません.
補正された応答を見てみましょう:
ここでは,両方のユニットのレスポンスが同時に耳に届くように,ユニットが垂直方向の直線的な「ステップ」で完全にタイムアライメントされていることがわかります.Dirac の主張が確認されました.ステップ応答の最初に,ほんの少しだけプレリングが見られますが,これまでのテストから,この程度であれば聴き取れないことはわかっています.ユニットのタイムアライメントを達成するという主な目的には,完全に無害です.
位相とタイムアライメントは聴こえないとされていますが,私が長年行ってきたリスニングテストでは,私の耳には聴こえてきました.低周波レスポンスにおける過剰な位相補正も,ユニットのタイムアライメントと同様に,私の耳には聞こえます.このあたりの詳しい話はまた別の機会に紹介したいと思いますが,Diracはタイムドメインでその役割を果たしているということだけは言っておきます.