ネット時代のデジタルプリアンプを作ろう

aeolian design tech blog (https://www.aeoliand.com) 室内音響 音場補正 Dirac Live の話題です

10. Dirac Live による最適化の検証

== Dirac Live for Studio デジタル室内音響補正の検証 (10) ==

Dirac Live による最適化の効果

f:id:aeoliand:20210601110554p:plain

Dirac は,私の部屋のローエンドの周波数特性を 30Hz 以下まで伸ばすことができました.左のスピーカーは部屋の隅にあるため 22Hz で -3dB ダウン,右のスピーカーは部屋のほぼ中央にあるため 28Hz で -3dB ダウンとなり,部屋の隅の影響による補強を受けていません.補正なしの場合と比較してみてください,左スピーカーの 32Hz と右スピーカーの 45Hz で -3dB ダウンしています.

 

補正後の 30Hz から 60Hz の領域を見ると,両方のスピーカーの振幅特性が近くなり,よりしっかりとした低音域のレスポンスが得られています.これに加えて,無補正の左スピーカーでは 36Hz,無補正の右スピーカーでは 55Hz で,よりスムーズでピークが少なくなっています.私たちの耳は,周波数特性の狭いディップよりもピークに敏感で,周波数特性のエンベロープに従うことを覚えておいてください.

 

補正前のレスポンスを見てもわかるように,大きな補正は 80Hz と 90Hz で行われます.90Hz の最低点から 110Hz の最高点までのトータルの振れ幅は 23dB です.私たちの耳には,90Hz のベース音は 110Hz のベース音に比べて 1/4 の音量になり,その逆も同様です.つまり,110Hz のベース音は,90Hz のベース音に比べて 4 倍の音量で聞こえるのです.これは典型的なルームモードで,部屋の比率によって異なる周波数ではありますが,誰もが経験していることです.ディップはまだありますが,50% 以上減少して ±5dB となり,スタジオ音響標準規格の許容範囲である ±3dB に非常に近くなっています.17 回の測定を REW で平均化しても,この範囲に収まるのではないでしょうか.スポットチェックとしては十分です.

 

Diracが,234Hz,461Hz,1.2kHz のピークを下げていることに触れておきます.また,2kHz から 5kHz にかけてのレスポンスがよりスムーズになり,AMTトゥイーターの明るさがわずかに引き下げられていることがわかります.最後に,10kHz を超えるとレスポンスが少し伸びます.部屋の中でのスピーカーの周波数特性は,スムーズになっただけでなく,周波数スペクトルの両端が拡張されています.

 

aeoliand.hatenablog.com

www.aeoliand.com