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aeolian design tech blog (https://www.aeoliand.com) 室内音響 音場補正 Dirac Live の話題です

5. Dirac Live による室内音響の測定

== Dirac Live for Studio デジタル室内音響補正の検証 (5) ==

 

最適化エリアの選択と多点測定

この検証では,2つのリスニングアレンジを試しました.5回の測定を行うシングルチェアーと,17回の測定を行うソファのワイドイメージングです.これは,その2つの補正を主観的に比較するためです.

まず,シングルチェアーを選択した場合の検証です.

 

シングルチェアー

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「測定に進む」をクリックします.

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Diracアルゴリズムを試すために,この設定では最小限の測定を行うことにしました.上の図は,5回目の測定を終えたところです.やることは,図に示されている場所に,マイクを配置させるというものです.一般的に、マイクの配置はそれぞれを40~60cm離し,図上の場所をクリックすることで,どのような順番で測定を行うかを選ぶことができます.なお,測定場所へのマイクの正確な配置は重要ではありません.

 

余談ですが,リスニングポジションの椅子やソファなど,スピーカーとマイクの位置の間にあるものは一時的に取り除いておくと良いでしょう.スピーカーと部屋の間に遮るものがなく,マイクの周りにも何もない状態で測定し,補正することで,きれいな音場を得ることができます.コーヒーテーブルなどによるスピーカーとマイクの間の反射や,マイク周辺の反射を補正すると,色のついた音になってしまうので,それを避けます.まずは遮られていない音場を測定し,補正してから,家具を元の位置に戻すのがベストです.最後に,測定用に本物のブームマイクスタンドを用意することをお勧めします.近所の楽器店で手に入れることができますし,オンラインで注文することもできます.UMIK-1に付属している小さなマイクスタンドはかわいいのですが,耳の高さを確保するために何かの上に置かなければならず,反射音(=色味)がマイクに入ってしまうので役に立ちません.

 

測定のたびに,信号は左チャンネルから始まり,右チャンネル,そして左チャンネルに戻ります.つまり,1箇所につき3回のスイープ×5箇所で15回のスイープとなります。

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これは,測定時に表示される画面で,何らかの理由で測定を中止しなければならない場合には,中止ボタンが表示されます。

測定結果に問題がなければ,「フィルター設計に進む」をクリックします.

 

最適化フィルターの設計

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Diracは,測定結果に基づいてターゲットカーブを提案します.一般的には,リスニングポジションでの周波数特性が下向きに傾いていることが求められます.これは,スピーカーのほとんどが,低周波では無指向性から始まり,高周波では徐々に指向性が強くなるためです.低音のエネルギーが上昇することで,下向きに傾いた定常状態のルームカーブが得られます.

 

傾きはどのくらいがいいのでしょうか? ショーン・オリーブ(そして以前フロイド・トゥール)が長年にわたって行ってきた科学的研究によると,20Hzから20kHzで約-8~-10dBの傾きが,多くのリスナーが好むニュートラルな音であることがわかっています.もちろん,どのようなターゲットカーブを導入するかは自由ですが,良い出発点としては,Diracの提案を利用し,少し明るすぎたり暗すぎたりするようであれば,いつでもカーブを調整することができます.なお,フラットな室内特性は,非常に明るい音になってしまうため,理想的なターゲットではありません.

 

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